はじめまして

医者として働き始めて、あっという間に15年近くが経ちました。これを読んで下さる皆さんの勤続に比べたら、まだまだ短いかもしれません。でも、振り返ると色んなことがあったなと思います。

大学病院での「外来診療」と「入院患者さんの担当」を軸に、町中の中規模病院の外来や夜間当直の仕事、小さなクリニックで「かかりつけ内科医」の役割、そして慢性疾患を抱えた患者さんの家を回る往診。長いところでは10年以上勤務し、その間ずっとお付き合いができた患者さんご家族もいらっしゃいます。

私たち医者の仕事では、「患者さんが一番の教科書」と言われます。患者さんに対して失礼な感じもするというか、「しっかり学んで一人前になってから担当してよ」と思われるかもしれませんが、やはり経験から学ぶものは大きいです。一方で、「患者さんを診たがらない医者には診せない」という不文律もあり、やる気のない後輩には「忙しそうだね、君はこの患者さんを診なくていいよ」という優し気な言葉とともにチャンスを取りあげたりもします。なので、皆さんの前に現れる若手の医者は皆やる気があるとご安心ください。

今までお会いしてきた患者さんとそのご家族を懐かしく思い出しながら、教えて頂いてきたことを、この文章を読んでくださる皆さんに少しでもお伝えできたらいいなと思っています。